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4.1 新聞社の収入・費用

現在、新聞社の収入のほとんどはは読者の購読料と新聞への広告料によって得られている。電子新聞が真に魅力的なメディアなのであれば、読者は現在の新聞購読料以上の情報量を支払うであろう。広告主もまた、効果的な広告媒体として放っておかないだろう。今後の収入が増えるか減るかは、電子新聞の設計指針にかかっていると言って良い。
では、新聞社の費用について考察する。
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図左の現在の比率は日本新新聞協会加盟社のうち、サンプル42社の営業報告書に基づくもの(1)で、中央は普及率50%時、右は普及率100%時の費用の想定である。各費用の内訳とそれぞれが削減される根拠については表4.1に示した。
各新聞社の決算報告が詳細になされていないことや、不要となるまたは縮小運用されるであろう印刷設備と新たに必要となる情報送信設備との減価償却費を同等としている(実際はもっと安価になるだろう)点から正確な推定とは言いがたいが大まかな傾向は読みとれる。
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新たに発生する費用として通信コストが考えられるが、元々現在の紙の新聞においても情報デリバリーに対するコストは新聞社から販売店への発送の経費を除いては販売店の収益部分として読者が負担してきた経緯があるため、考慮からはずすこととした。
かなり不確実な要素もあるものの、用紙費、人件費、営業経費など新聞社の経営に大きな負担となっている部分は確実に削減が見込まれる。
以上の推察から電子新聞の普及により、紙の新聞の発行を停止することが出来れば新聞社の費用は約4割削減することが可能である。
モデル平均経常利益率が1.3%(93年度)(1)の新聞業界においてはこの数字は大きな意味を持つ。
紙の新聞から電子新聞への移行は、新聞社が優良企業に変貌する手段でもある。

by naoto_minamoto | 2005-08-12 15:13 | ①新聞産業の現状と電子新聞  

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